不動産売却と遺産相続の基礎知識


 

不動産の売却と相続


不動産に関して、実印と印鑑証明が必要となる場面をいくつかご紹介します。
まずは、不動産の売却についてです。

 

不動産を「売却」する場合


所有している不動産を売却する場合、登記の名義を買主に移すことになります。
登記の移動は、管轄の法務局に申請するのですが、その際に売主の実印印鑑証明書が必要となるのです。

 

これは、「本当に売主に売却の意思があるのか」を確認するためのものになります。

 

よく不動産の権利証が大事だと言われていると思いますが、権利証が盗まれたからといって、不動産が奪われるわけではありません。

 

名義を失う場合には、必ず実印を押す必要があるので、権利証だけを持っていても、どうしようもないのです。

 

もちろん、権利証をなくすと手続きが面倒になってしまうので、大切なものには違いはないのですが、それ以上に大切なものが実印なのです。

 

不動産を「相続」する場合


次に、不動産を相続する場面でも実印が必要となることがあります。

 

不動産を持っている方が亡くなると、相続登記をすることになります。相続登記とは、相続人に不動産の名義を移すという手続きのことを指します。

 

このとき、相続人が複数いる場合、「だれがその不動産を相続するのか」を相続人全員で話し合うことになります。

 

そしてその結果を、「遺産分割協議書」という書類に記録し、相続人全員が実印を押して、印鑑証明書とあわせて法務局に提出するのです。

 

法務局では押印してある印影を、印鑑証明書と照合しますので、実印を押すときは鮮明に印影が残るようにする必要があります。

 

なお、遺産分割協議書を作成するのは、

 

  • 相続人全員の合意内容を明確にするため
  • 正確な記録を残して、あとで無用なトラブルが起きないようにするため
  • 不動産や預貯金、株式、自動車等の名義変更手続きのため
  • 相続税の申告書に添付するため

 

といった重要な目的があります。

 

遺産分割協議の話し合いがまとまったら、必ず遺産分割協議書を作成するようにしましょう。

 

「遺産分割協議書」のサンプル

 

遺産分割協議書

 

 

本     籍  ○○県○○市○○町○丁目○番○号
最後の住所    ○○県○○市○○町○丁目○番○号
被 相 続 人  山 田 太 郎 (平成○○年○○月○○日死亡)

 

上記の者の相続人全員は、被相続人の遺産について協議を行った結果、次の通り分割することに同意した。

 

1.相続人山田花子は次の遺産を取得する。

 

【土地】

 

所   在  ○○市○○町○丁目  (登記簿に記載の通りに明記)
地   番  ○番○
地   目  宅地
地   積  150.00u

 

【建物】

 

所   在  ○○市○○町○丁目
家屋番号   ○番○
種   類  木造
構   造  瓦葺2階建
床 面 積  1階  60.50u
       2階  60.00u

 

2.相続人山田一郎は次の遺産を取得する。

 

【現金】   金5,000,000円

 

【預貯金】 
       ○○銀行○○支店 普通預金 口座番号xxxxxxxx
       ○○銀行○○支店 定期預金 口座番号xxxxxxxx

 

【株式】   
       ○○株式会社 普通株式  1,000株

 

3.山田花子は、第1項記載の遺産を取得する代償として、鈴木三郎に平成○○年○○月○○日 までに、金15,000,000円を支払う。

 

4.本協議書に記載のない遺産及び後日判明した遺産については、相続人山田花子がこれを取得する。

 

以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、本協議書を○通作成し、署名押印のうえ、各自1通ずつ所持する。

 

 

 

平成○○年○○月○○日

 

【相続人山田花子の署名押印】 
住所             
氏名           実印

 

【相続人山田一郎の署名押印】 
住所             
氏名           実印

 

【相続人鈴木三郎の署名押印】 
住所             
氏名           実印

 

(住所・氏名を自署し、実印を捺印する)

 

「遺産分割協議書」を作る時の注意点

  • 遺産分割協議書の形式や書式に特に決まったルールはありません。縦書きでも横書きでもどちらでもよく、パソコンで作成して印刷しても構いません。ただし、トラブル防止のため、相続人の住所と氏名は、手書きのほうがよいです。
  •  

  • 土地や建物などの不動産は、登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されているとおりに、正確に記載してください。少しでも間違っていると、法務局で名義変更の手続きが受け付けられない可能性もあります。
  •  

  • 預貯金、車、株式等の遺産や債務はもれなく記載しましょう。できるだけ財産を特定できるように正確に記載します。
  •  

  • 代償分割(ある相続人が遺産を取得する代わりに別の相続人に金銭を支払う)の場合、代償金額と支払期限を明確にしておきましょう。
  •  

  • 万が一、後日新たな遺産が判明した場合に備えて、第4項の文言を入れておくとトラブルを避けられます。
  •  

  • 相続人全員の署名と実印の押印が必要です。遺産分割協議書は1通だけ作成しても構いませんが、相続人同士平等に保管しておくため、相続人の数だけ同じものを作成しておいたほうがよいでしょう。

 

戸籍や財産(借金)をよく調査せず、安易に自分たちだけで誤った遺産分割協議行ってしまい、遺産分割協議が無効になったり、次の世代でお困りになっている方も数多くおられるそうです。 

 

遺産分割協議に少しでも不明な点ある場合はお近くの相続専門家に必ずご相談してください。


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